中国に税金はありますか?
■中国の税金
「中国に税金はありますか?」と、日本人の方に尋ねられたのは、そんなに遠い昔のことではありません。中国は自転車が多い国と思っている方もいまだにおられますから、日本人が中国の税金を理解するようになるまでには相当の時間がかかると思います。
2010年に中国のGDPは、日本を抜きアメリカについで世界第2位になりましたが、同年、中国の税収も世界第2位になっています。
■日本の税務
「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」という規定が日本国憲法30条に定められており、租税法律主義と呼ばれています。税を課するためには、法律の定めが必要であるとされるものです。日本の税法は、税務の礎と理解でき、税法に沿って税務実務が行われていくことが想定されています。ですから、税法や税法改正を勉強することで、税の実務に役立てることができます。
■中国の税務
一方の中国の税法。日本の専門家の方などが日本と比べることがありますが、実務はとても複雑なため、「税法」を引き合いに出してお茶を濁しているケースが多いです。日本でしたら、税法を上手に解説できることは相当な専門家の証ですが、中国の税務は必ずしも税法どおりとは限りません。税法と実務に大きな落差があるのです。現状を受け入れて、ありのまま理解する必要がありますが、それもさえ日本人には相当に難しいものです。
■中国の税務対策
中国においても国民に納税の義務はありますが、租税法律主義はありません。法律の定めはなくても、税を課すことができます。また、近代税制が施行されてから20年ほどしか経過しておりませんから、税法が完備されているとは言えません。
通達で補完された税法が運用されていますが、専管員の活躍もあり、中国の税収は順調に伸びています。
中国では、納税者は税法を学ぶだけでなく、税務行政の特殊性も考慮する必要があります。