年度会計監査
『年度会計監査』という制度
中国では全ての外資系企業は会計師事務所による『年度会計監査』を受けなければなりません。
現地日系企業も大手監査法人や現地会計師事務所に監査を依頼されていることと思います。
中国では、日本と異なり全ての企業の決算期は1月1日から12月31日までです。
それで、年度会計監査の本番は年明けから開始されることになります。
日本の会計監査との違い
日本では、会社はその企業の会計期間が終わると決算書を作成します。
決算書は利害関係者への報告や税務申告等に使用しますが、監査法人による会計監査を要するのは主に上場企業です。
その会計監査は監査基準に準拠して行われ、会計基準に準拠した監査済の財務諸表及び監査報告書は一般に公開されています。
上場企業の株は割と誰しも買うことができます。誤解を恐れずに言えばそれぐらい公の「みんなの会社」なわけです。ですから、その会社の作った報告書である決算書が「チェック済」となっていることを公にするのは大切なことです。
一方で、中国では公の会社でなくても外資系企業であれば規模に関わず年度会計監査を受ける必要があます。
会計師事務所による年度財務諸表の記載を含む監査報告書は日本の決算書に近いものと位置づけることができます。
また、監査報告書はその後の年度の法人税の確定申告や連合年度検査の際に税務機関や各政府部門に提出が求められます。ただ、企業が営業を継続する上での重要な書類だが、中国で上場している会社でない限りは一般に公開されることはありません。
中国の会計・監査実務
中国でも会計基準及び監査基準は定められていますが、実務上は日本ほど厳格に遵守されていない場合も多いです。監査の実効性が伴わない事例も散見されます。
このような場合は、会社側の監査の受け入れ体制を含む監査の経験・質が、日本の親会社の期待しているところと異なり、難しい状況が生じるかもしれません。
そのため、中国現地企業におかれましては、監査報告書の使用目的について十分ご検討ください。その上で、日本の親会社への報告用としても使用する場合には監査を担当する会計師事務所と十分にコミュニケーションをとって確認することをお勧めしたいと思います。