《多発する不正》
中国で税務・会計に携わるようになり、日本との違いに驚かされることが数多くあります。耳にする中国における不正件数の多さもその一つです。
性善説に立つ日本的な企業文化は中国の文化とは異なる部分も多く、より不正リスクを高めているということが言えます。弊事務所でも不正関連の問い合わせをいただく機会が多くなっています。
《主な不正の内容》
従業員による不正として多いのは
- 調達・購買担当によるリベートやキックバック
- 購買・製造・営業担当による在庫の横領
- 人事・財務・管理担当による給与の改ざん
- 経費精算の水増し
- 裏帳簿や簿外口座作成による横領
などです。
中には取引先との共謀等により発見されにくいものもあるのですが、適切な内部統制が構築されていれば防げたような初歩的な不正も多くあります。
一方、総経理等の上位職に就いている方は内部統制を無効ならしめることができる立場にあります。そのため、これらの人によって不正が行われる場合には、不正金額も多額にのぼることが一般的です。
また、
という理由で
「長期にわたって特定の人材に重要な業務を任せきりに」していたり、
日本人及び日本語ができる人材としかコミュニケーションをとらなかったことにより、その特定の人材による不正の発覚が遅れる事態も散見されています。
企業の貴重な経営資源が奪われることが一義的な問題ではありますが、不正が起こった結果、財務諸表に重要な影響を与える場合もあります。
それで、税務・会計上においても、やはり大きな問題と言えます。
《不正を防ぐためには》
一般的によく言われることですが、不正を防ぐためには
必要不可欠です。
限られた資源で経営することが求められる小規模な現地法人では、これらの体制を十分に整えることが難しいかもしれません。
そういった時には、外部の第三者による定期的なチェックを委託することも有効な手段となるでしょう。