■税務職員の裁量権
納税者は当然に、納税者の立場で税法を解釈しますし、税務局は徴収する立場で税法を解釈します。これは日本でも中国でも同じです。
複雑な経済取引が生まれると、同時に税法解釈が必要になります。何通りもの解釈ができたのでは役に立ちませんから、最終判断は税務機関が行うことになります。税務局は徴税を行う政府機関ですが、税法解釈においても大きな裁量権を持ちます。
日本の場合、租税法律主義ですから税務職員といえども法定された範囲でしか裁量権がありません。税務調査を行うときでも法定された「質問検査権」の範囲内でしか行うことができません。
中国の場合、税法は増値税中心の近代的な税制ができていますが、税務職員の裁量権は日本よりも大きく、その指導に従うことになるケースが多くみられます。
中国でも日本と同じように税法改正があります。改正をいつから実行するかのタイミングにも税務職員の裁量権が及び、その指導に従うことになっています。
■中国の申告納税
日本では、税法・判例が公表されていますから誰でも自主的に申告納付できるようになっています。納税者が申告額を決め納付する方法で、申告納税制度と呼ばれています。
中国では、税務局の指導に従い申告納税を行いますが、納税額は税務機関が決めることになります。したがって、電子申告が普及した現在でも、専管員はとても重要な存在です。
■税法は灯台
中国の税法は例えれば灯台のようなものです。専管員は羅針盤かも知れません。灯台は船の航行に欠かせません。灯台は目的地ではなく、安全航行のための目標として役に立つものです。灯台を目標に潮の流れ、風向き等を考慮して船が進むべき方向を船長が決めるものです。船に備えた羅針盤の力を借りれば、更にスムーズな航行を行うことができます。