■「会計監査」と「税務申告」は別物
今回は「会計監査」と「税務申告」について解説したいと思います。
「中国の会計監査には『会計監査』の他に『税務申告』も含まれているのですか?」という質問をよく受けることがあります。
実際、中国では「会計監査」は会計法を基に、「税務申告」は税法を基にしています。そのため、「会計監査」と「税務申告」は当然に別ものです。
中国では企業が決算書を作成する習慣はありませんが、その代わり会計法で「会計監査」が義務付けられています。税務申告については、日本では納税者が自主的に申告納税を行うシステムが習慣化していますが、中国では、納税額の決定は税務局が行うことになっています。交際費など、税法で制限された項目は、税務局に資料を提供する必要があるため、会計監査報告書に記載される仕組みになっています。交際費などは、会計上は支出した全額が費用処理されますが、税務上では限度額計算がありますから全額が損金にならないこともあります。このように、中国では会計法と税法で処理の仕方に違いがあり、注意が必要です。
■企業所得税の確定申告
中国における企業所得税は、日本の法人税に当たります。日本では事業年度終了の日から2カ月以内に確定申告が行われますが、中国では企業の事業年度がありません。課税年度は毎年1月1日から12月31日までとされていますので、翌年の4月末までに確定申告を行うことになります。具体的には政府が指定した期限となります。
■四半期申告
日本での中間申告には予定納税と仮決算があります。確定申告が重要視されていますから、中間申告は前払いとして位置づけられ、前年度納税額を基準にした予定納税が一般化されております。中国では四半期申告が一般的です。四半期ごとに作成される財務諸表により、申告額を決定し納税することになりますが、これは前払いではなく、納税額は納付ごとに確定するという考え方が習慣化していますので、後から税金還付を行う手続きは簡単ではありません。この点を見ると中国における四半期申告は日本の中間申告とは異なるようです。正確な財務諸表の作成とその資料に基づく申告納税を行うことは大切なことですが、現状として中国では税務局の担当専管員と相談し、指導を受けることも必要なことのようです。