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経済補償金の税務

経済補償金の税務

労働契約法が施行されてから、日系企業が労働契約期間や経済補償金に頭を悩ますことが多くなりました。経済補償金については、その定義を理解しないまま話題にしているケースが散見されます。今回は経済補償金に関係する個人所得税について触れてみたいと思います。

■経済補償金は日本でいう退職金?

経済補償金は退職に伴い支給されますが、日本の退職金とは少し異なるようです。日本の退職金は本質的には賃金・給与の後払いであり、終身雇用制を基調とした日本において永年勤続を奨励する意味で広く普及している制度です。退職金の支給は法律で決められているものではありませんから、社内規定に違反しない限り、退職金を払わなくても違法にはなりません。福利厚生の一環として永年勤続者に支給される慣行があるようです。老後の生活資金にもなるので、税法上は退職所得として軽課されています。

■中国の経済補償金

中国の経済補償金は、労働契約の長短を問わず雇用主との労働関係を終了または解約したことによって支給されることになっています。そのため、労働契約終了後または解雇された後の給与補償という意味があるようです。

経済補償金に係る個人所得税の計算

(1)一括性経済補償金は、「賃金・給与所得」に分類され、個人所得税が課税される。
・経済補償金の金額
現地の就業年数平均給与の3倍以内の金額であれば個人所得税を免除。超過部分について「国税発[1999]178号」に基づき個人所得税課税。
(2)一括性経済補償金は、数年間の「賃金・給与所得」とみなし、一定期間で平均支給されたものとする。
取得した一括性経済補償金をその企業で就業していた年数で割り、その算出された金額を基に各年度の個人所得税を計算。その企業での労働契約期間は実際の労働年数に基づいて計算。ただし、12年を超える場合は12年を限度とする。
(3)納税すべき個人所得税は、その企業が経済補償金を支給する際に、源泉徴収して翌月の15日までに納税する。
(4)住宅積立金、医療保険金、基本養老保険金、失業保険基金は控除される。