■増値税をご存じですか?
「増値税をご存じですか?」という質問を日本の方にすると、「知ってますよ。日本の消費税にあたる税金でしょう。税率は17%でしたね」という答えが返ってくることがあります。
また、「どのようにお客様に請求するのですか?」「内税ですか、外税ですか?」などと返されることもあります。
日本の消費税は、最終消費者が負担することを前提にしていますが、税法には転嫁の規定がないため、日本政府が主導して税の転嫁が起こるようにした経緯があります。本体価格と消費税を区別することで、消費者に対して消費税がいくら含まれているか分かるように、内税、外税の表示方法を一般化させました。ところが、中国の増値税では転嫁は問題にされていないので、取引において増値税を区分して表示する習慣もありません。価格には増値税が含まれるのが一般的ですが、増値税がいくら含まれているかは表示されません。
■誰が税を納めるのか
税金を納めなければならない者を「納税義務者」と言いますが、日本の消費税法では「事業者が事業として行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負う」となっています。つまり消費税の納税義務者は、事業者と定められています。中国の増値税の納税義務者は「物品の販売、加工、課税役務、物品の輸入などを行う企業、団体等および個人事業者」とされています。中国の増値税も納税義務者は消費者となってはおりません。
■転嫁とは
転嫁とは「租税負担が私経済的な流通過程を通じて納税者から他に移転されること」を指します。
日本の消費税導入時、反対運動が激しかったこともあり、導入のために政府は様々な対策を講じました。企業への影響を考慮してか、消費税は事業者が負担するのではなく、転嫁されて消費者が負担する税であることを説きました。これは、本体価格と消費税を区別して表示させた政策に沿ったものです。
中国では税を別表示する習慣も転嫁する習慣もありませんので、価格に含めて請求しないと自社負担となりコスト増に繋がるため、注意が必要です。