最近、中国は消費市場となってきていますが、かつては「世界の工場」と呼ばれていました。現在も輸出は中国経済の生命線です。
その輸出振興策のひとつが、輸出企業に対してゼロ税率適用をすることで発生する「増値税の還付」です。増値税の一般納税人の申請をし、さらに所定の手続きを行うことで増値税の還付を受けることができます。
■意外に知られていない増値税還付の実態
「うちで使っている貿易会社は良心的だよ。手数料が安いからね。」
確かに費用は安いに越したことはありません。
しかし、「増値税の輸出還付率は何パーセントなのですか?」と切り出したところ、「何の話ですか?」と返されてしまいました。
■税還付はどのようにされるか
「輸出手続きを、誰がどのように行うか」が、税還付がどのようにされるかに関連してきます。
A.仕入業者に委託する中国から輸出する際の手続きを、中国の仕入先にお願いする場合
仕入先から直接日本に輸出されることが多いですから、税還付は仕入先に行われます。B.外注先工場に委託する輸出手続きを中国にある外注先の工場に委託する場合
工場から製品を直接日本に輸出しますから、税還付は工場に行われます。C.貿易業者や物流会社に委託する
-1.自社で輸出を行っているが、通関手続きは物流会社に依頼する場合
税還付は荷主である依頼者(自社)にされます。
-2.輸出が荷主(自社)ではなく、貿易会社名義で行われる場合
荷主である依頼者(自社)は貿易会社に商品を販売することになりますから、国内取引扱いとなります。荷主には納税義務が発生し、税還付は貿易会社に行われます。D.自社で輸出手続きを行う商品(製品)を引き取り、検品、保管から通関手続きまでをすべて自社で行う場合
当然、自社に税還付されます。
■発票(インボイス)方式
日本の消費税は帳簿方式と呼ばれており、帳簿の裏付資料として請求書が使われます。偽造まで想定されていませんが、現在まで大きなトラブルもなく運用されています。
対して、中国は発票(インボイス)方式を採用しており、輸出税還付を受けるには、発票の提出が絶対条件となります。納税者識別番号が記載された発票を税務局に提出して承認された後、還付手続きを行うことで、発票の不正までもチェックできるようになっています。