上海茂木咨詢有限公司

不正

不正

■多発する不正

中国で税務・会計に携わるようになると、日本との違いに驚かされることが数多くあります。中国における不正件数の多さもその1つです。性善説に立つ日本的な企業文化は中国の文化とは相容れない部分も多く、不正リスクをより高めていると考えられます。弊事務所でも不正関連のお問い合わせをいただく機会が多くなっています。

■主な不正の内容

従業員による不正の代表例は、以下のようなものです。

-調達・購買担当によるリベート・キックバック
-購買・製造・営業担当による在庫の横領
-人事・財務・管理担当による給与の改ざん、経費精算の水増し、裏帳簿や簿外口座作成による横領

中には取引先との共謀等により発見されにくいものもありますが、適切な内部統制が構築されていれば防げる単純な不正も多くあります。
一般に、内部統制を無効にできる立場にいる、総経理等の上位職の者により不正が行われる場合、不正金額は多額に上ります。
中国の事情に疎い、あるいは中国語が分からないという理由で、長期にわたって特定の人材に重要な業務を任せきりにしていたり、日本人および日本語ができる人材としかコミュニケーションを取らなかったことにより、その人による不正の発覚が遅れる事態も散見されています。こうした不正の一義的な問題は、企業の貴重な経営資源が奪われることですが、不正の結果、財務諸表に重要な影響が及ぶ場合もありますから、税務・会計上も、不正は大きな問題です。

■不正を防ぐために

不正防止策

社内規定の整備・内部統制の構築
外部の第三者による定期的なチェック

不正を防ぐためには、社内規程の整備および適切な内部統制の構築と、それらの定期的なチェックが必要不可欠です。
しかしながら、限られた資源で経営することが求められる小規模な現地法人で、これらの体制を十分に整えることは簡単ではありません。このような場合、外部の第三者に定期的なチェックを委託することも有効な手段ですが、中国にはこの第三者のチェックをあの手、この手で阻止しようとする風土があります。会計における不正チェックだけでは解決できないことも多く、経営にとって大きな壁になっているようです。