上海茂木咨詢有限公司

旅費手当、通勤手当

旅費手当、通勤手当

個人所得税に関する日中の取り扱いの違い

日本:非課税規定あり
低額、領収書なしでも損金算入できる。
中国:非課税規定なし
少額でも発票に基づく処理が原則。「定額」の非課税処理は追徴課税の原因にも。

■出張旅費日当―日本の取扱い

給与所得者が通常勤務する場所を離れて、勤務遂行のために旅行をした場合、その費用について、通常必要であると認められる部分は非課税とされています。日本の特殊性もありますが、給与所得者の旅費、日当につき、実費精算主義や証拠主義をとらず、「定額主義」を取っていますので、社内で規定された旅費規程により支給した旅費、日当のうち、社会通念上必要と認められる範囲の金額は、それが定額であっても非課税とされています。

■通勤交通費―日本の取扱い

給与所得者が通勤に必要な交通機関の利用、または交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして、通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、通常必要であると認められる部分は、非課税とされています。渡切交際費や渡切交通費は、精算されないことから現物給与とされますが、領収書がなくても具体的に支払いを証明する書類があれば損金算入はできることになります。

■出張旅費日当―中国の取扱い

中国において、全ての取引には発票の発行、受領が要求されております。発票は商品の売買・サービスの提供等の経営活動における料金収支証明とされていますから、発票が計上基準になっています。通勤手当のように定額で支給される通勤交通費、旅費日当等は、例え、社内規程に基づくものであっても損金とは認められず、現物給与として個人所得税が課税されることになります。
日本では、交通費や電話代を実費支給する習慣がありますから、中国においても同じように扱う会社は多いようです。ところが、少額を実額精算することは煩雑なので、旅費日当、通勤手当等を「定額」で支給するケースもあるようです。中国の個人所得税法では、非課税規定がありません。「定額」を非課税処理することはできません。追徴課税の原因になりかねませんので、少額であっても発票に基づく処理が原則であることを確認する必要があります。